経営者にとって労務整備は、避けては通れない頭の痛い問題のように思います。
労働者を守るために、いろんな法律が改正されていますが、どこからどうつつかれても一切問題がない状態に職場の労務状況を整備するということは、歯科医院レベルではかなり難しいのではないかと思います。
そもそも法律というのは、弱者を守るために作られたもののように思いますが、法律があることで逆にぎくしゃくしてしまうこともあるような気がします。
就職は結婚と似ていると思っていますが、それぞれの家庭にはそれぞれの家庭のルールーがあってもいいと思いますが、個々の家庭において国が決めた法律が絡んでくると逆効果になることもあるのではないでしょうか?
家庭において法律が入るというのは、DVを受けているとか、家族内だけでは解決できないときに、法律の力を借りる必要があります。
それをどの家庭でも、夫婦や家族のやるべきことに法律が絡んでくると、うまくいっているものもおかしくなってくるように思います。
例えば、「子育ては必ず夫婦が均等に行うべき」
であるとか、「共働きの家庭では、家事は男性も必ずしないと罰金になる」
とか「自分の子供でも相手を傷つける言動は法律で罰せられる」
などの法律が一律であるとしたら、うまくいくものもおかしくなってくるのではないでしょうか?!
ブラック企業で、社員が苦しんだり悩んでいるのであれば、法律の力を借りることは有益ですが、うまくいっている企業にまで法律を持ち込まれたのでは、逆に信頼関係が悪くなることもあるような気がします。
私の知り合いでも、労務の整備は整っているのに頻繁に社員とトラブルになっている会社がありますが、社員とのトラブルというのは、労務の整備以上に経営者と社員との信頼関係が大切ではないかと思います。
セクハラやパワハラは、何を言われたかではなく、誰に言われたかのほうが問題になるように思います。
信頼関係がある人から言われても前向きに受け止められますが、信頼関係がない人から言われれば何を言っても悪くとらえられてしまいます。
労務の整備によって、労働者の権利を守ることは大切かもしれませんが、労務の整備以上に組織と労働者の信頼関係の構築に労力を割くほうが何倍も効果的な気がします。
「労務の整備」が対処療法なら、「信頼関係の構築」は予防療法になると思います。
対処療法と予防療法ではどちらのほうが効果的かは、議論の余地はないかと思います。
もちろん、今からの時代は、「労務の整備」と「信頼関係の構築」の両方が求められる時代なんだと思います。