スタッフが部下に指導する際に、注意をすることをためらいます。
注意をして反発されたり、自分が嫌われることを恐れます。
人間誰しも、人から嫌われたくないでしょうし、争いは避けたいものです。
特に女性は和を大切にするので、嫌な雰囲気になることを恐れて注意することを怖がります。
数年前に「嫌われる勇気」という本がベストセラーになりましたが、人は誰しも嫌われたくないという本能があって、その壁を突き破る勇気が持てるのか、という期待でこの本を手に取った人も多いのではないでしょうか?!
私自身、人から嫌われたくないという気持ちが強いのを自覚していますが、クリニックのトップとして言いにくいことも言わなければ、後でひどい目に合いたくないから注意したりできますが、スタッフ間では波風を立てなくて済むのであれば、相手にとって耳障りなことは言いたくないのだと思います。
私にとっての「嫌われたくない」という葛藤を突き破る動機は、トップとしての使命感や責任感なのかもしれません。
仕事以外でそういった使命感や責任感を感じない多くの場面では、「嫌われたくない」という気持ちの方が勝ってしまいます。
一方、感情的になった時には、言わなくていいことまで言ってしまい、あとで後悔してしまいます。
部下への指導や注意する場面でも、感情的になった時は言う必要のないレベルまで言ってしまうことがあります。
冷静な状況では「嫌われたくない」という本能が優位に立っていても、一旦感情的になった場合には、「嫌われたくない」という気持ち以上に「負の感情を吐き出したい」という気持ちの方が勝ってしまいます。
この「感情的になる」という一見マイナスの要素を、勇気が欲しい時に意図的にコントロールできれば「もっと生きやすくなるのにな~」と考えることがあります。
感情的になるのは無意識の行為ですが、これを意図的にコントロールできれば勇気が欲しい時にすごく役立つように思います。
感情の力を意図的に使用する方法として、言葉に気を付けることが大切だと考えています。
マイナスの言葉を使えば、気持ちも後ろ向きになりますが、強気の言葉を使えば気持ちも前向きになってきます。
「言うべきことはきちんと言える方がかっこいい」と多くの人が思っています。
しかし現実には、なかなか言うべきことが言えない人が多いです。
「地位が人を育てる!」という格言がありますが、地位が高くなると「嫌われたくない」という利己の気持ちよりも「自分の責任を果たすしかない!」という利他的な責任感や使命感で「嫌われたくない」という葛藤を突き破る動機付けになる場合が多いです。
「嫌われる勇気」を出すための手段として、感情のコントロール方法を身につけたり、使命感や責任感などの利他の気持ちを利用していけば、案外簡単に乗り越えられるような気がします。
継続は簡単ではないですが…………